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能楽について(重要無形文化財/ユネスコ無形文化遺産)

写真撮影 前島吉裕

能楽は、日本の最高峰を誇る伝統芸能である。
数ある古典芸能の中で、最も尊く、日本を代表する文化。
重要無形文化財に指定され、ユネスコ無形文化遺産に登録されている。
しかし、そのことを知る日本人はどれだけいるだろうか。
ましてや、能を観にいき、その醍醐味を感じられる人はどれだけいるでしょうか。
お能は、日本の歴史や精神性が織り込まれ、完璧なまでの幽玄さを演じる。
演じるというより、もはやこの世の世界ではないような錯覚を感じさせる。


お能は、決して裕福な方や、ご年配の方だけに親しまれるだけではない。
世代を問わず、心打たれるものには条件や理由などないと思う。
ヨーロッパのオペラが浸透する文化では、世代を超えて、オペラやその世界に親しむ。
観る人も、演じる人も文化力が高く、家庭でもオペラのことが会話になされ、
友人や恋人同士でもオペラやクラシックの話題が尽きない。
日本の文化力も、もっと高まると好ましいと思う。


よく、海外の人から日本のことを聞かれて、よく返答できない人が多いと聞く。
日本をよく知り、伝えることは、日本という国、日本人ということに
誇りを持つことだと私は思う。
そして、その根拠は何かと考えた時に、先人が今日に至るまでに受け継いでくれた
伝統と文化だといえよう。


日本には、時を経ても変わらない素晴らしい文化・伝統が数多くある。
文化伝承サイト「sara桜羅]では、日本中の文化力を高める為、伝える為に活動し、
志同じくする人々に協力いただき、掲載のお願いもしている。


そしてこの度、これまでに観た能の中で、最も心に響き、印象に残る方に、
掲載を何度となくお願いし、ご参画いただけることになった。
能楽師観世流シテ方、重要無形文化財総合指定保持者の武田文志氏である。
武田文志氏は、幼少の頃より父・志房及び、
二十六世宗家・観世清和、故・野村四郎幻雪(人間国宝)に師事し、
これまでに国内外問わず年間100を超える舞台出演の傍ら、毎月数十名の指導も行う。


舞台では、その方々による「気」、いや、もはや「霊気」というような、気迫を感じる。
その強さ大きさは人によって異なるが、こちらの目が釘付けになるような迫力と、
優美さも兼ね備えている。生まれ持った血筋と、恵まれた環境、才能はさることながら、
自身が36歳の時、大病を患い生死の境をさまよったことも影響しでいるのではないか。

現在は、能楽の舞台や指導だけではなく、幅広い層を対象に「能楽に学ぶ人生哲学」の講義を展開するなど、
多方面から注目を集めており、 武田文志氏は能楽者でもあると共に、哲学者でもあるといえる。


氏の世界観に触れること、能の神髄と魅力を知ることで、能楽の世界を深く知り、
生きることがより豊かに、幸せになることを祈っております。


【武田文志/プロフィール】
武田文志(たけだふみゆき)シテ方観世流
重要無形文化財総合指定保持者


昭和五十二年十月十九日生まれ  
父・志房及び、二十六世宗家・観世清和、故・野村四郎幻雪(人間国宝)に師事
公益財団法人 武田太加志記念能楽振興財団専務理事


3歳にて初舞台を踏み、これまで「石橋」「乱」「道成寺」「望月」「安宅」「翁」を披き、
近年では「隅田川」「定家」「道成寺赤頭」「屋島弓流」等、多くの大曲に積極的に挑み続けている。
海外公演多数。 ワークショップやプロの後進指導にも力を注ぎ、現在は年間百を超える舞台出演の傍ら、
毎月数十名の愛好者を指導している。
舞台の外では、(公財)武田太加志記念能楽振興財団の専務理事として運営の中枢を担う傍ら、
経営者から学生まで幅広い層を対象に「能楽に学ぶ人生哲学」の講義を展開するなど、
多方面から注目を集めている。
人々を魅了する事で「花を掴む(感じる)心」を拡げ続ける、魂の能楽師。「文の会」主宰。


武田文志 公式HP
http://takedafumiyuki.com/ak/

公益財団法人 武田太加志記念能楽振興財団
http://ttmnf.or.jp/

お能 動画解説 (2013年11月収録)
http://takedafumiyuki.com/ak/?p=483

写真撮影 前島吉裕

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