南宋の詩人 – 陸游 りくゆう –
日本にも多くの愛好家を持つ南宋の詩人、陸游(りくゆう)。
最も有名な李白(りはく)に似ている事から、小李白とも称されています。
陸游(りくゆう)は二十歳の時に唐琬(とうえん)と結婚しました。
二人はいたって仲むつまじかったのですが、仲が良すぎた故に
離れ離れにさせられてしまいました。それから十年後、
二人は思いがけない再会を陸游の故郷、紹興の庭園でしたのです。
その時陸游は、夢のような再会に万感の思いを込めて詩を壁に書きつけました。
ふくよかな手に、注がれる美酒。つかの間の喜び。胸いっぱいの悲しい思い。
何年別れていたことか。ああ、なんと誤ってしまったことよ。
唐琬はまもなく他界をしたが、彼女との思いはいつまでも消えなかった。
それから三十数年後、六十八歳の時に庭園を訪れては懐旧の涙にくれ、
七十五歳の時と、八十四歳の時も思い出のうたをつくる。
その情熱のかくも深く長く続くのには、驚嘆のほかないでしょう。
涙の痕は紅にぬれ、うすぎぬにしみる。
変わらぬ愛はあっても、便りを交わすすべはもうない。 ああ、寂しいかな。
[ – sara 桜羅 – ]