sara 桜羅読み物歳時記

過ぎ行く年に思いを馳せる言葉 

年末になると、一年の過ぎていく年を惜しむ言葉に、松尾芭蕉の詩が思い出されます。
来年の春、花が咲く頃には、花を見て純粋に美しいと思えるようになることを願います。

 


【月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人也】(松尾芭蕉)
(つきひははくたいのかかくにして、ゆきこうとしもまたたびびとなり)

 


【舟の上に生涯をうかべ、馬の口とらえて老をむかふる物は、
日々旅にして旅を栖(すみか)とす。】

 


意訳:月日というものは永遠の旅行者であり、過ぎゆく年もまた旅人である。
舟の上に生涯を浮かべて過ごす船頭や、馬のくつわを引いて年とってゆく馬子は、
毎日が旅であり、旅を住処としている。

 


これは李白の詩(春夜宴桃李園序)を引用したものですが
一生を旅に例えるのは芭蕉ならではですね。

 


【春夜宴桃李園序】(李白)
夫天地者萬物之逆旅、(それてんちはばんぶつのげきりょにして)
光陰者百代之過客。(こういんはひゃくだいのかかくなり)
而浮生若夢、(しこうしてふせいはゆめのごとし)
爲歡幾何。(かんをなすこといくばくぞ)

 


意訳:この世のすべてのものは宿屋であり、月日は旅人である。
そして人生は夢のようなものだ。
楽しいことをするといってもどれほどのものがあるだろうか。

李白のこの詩には、生きることを慈しむ思いが込められているように思います。

[ – sara 桜羅 – ]

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