NHK文化センター講師による 天業としてSHIN.ZEN.BI.展 2020

多才な長坂大山氏の略歴を見ると、江戸時代初期の文化人、
『本阿弥光悦 』を連想させる。『本阿弥光悦 』は、書家、陶芸、漆芸、
出版、茶の湯などにも携わったマルチアーティストであり、芸術家である。
俵屋宗達、尾形光琳とともに、琳派の創始者として、光悦が後世の日本文化に
与えた影響は大きい。
大山氏は舞台美術家・朝倉摂氏に師事を受け、桑沢デザイン研究所を経た後、
株式会社婦人画報社、アシェット婦人画報で長年経験を積み
名物人気編集者として大変有名な方でした。
その美的感性と培われた審美眼、備え持たれた抜群のセンスは、
現在を代表する文化人であるといえます。
事実、日本で最も有名な文化誌に一面で紹介されたり、
出展は国内だけではなく、パリなど海外にも進出している。

大山氏の『自選遊刻集』の最初の作品ページには、
中原中也の代表作「汚れちまった悲しみに」の詩が載せられている。
中也は若い頃に小林英雄に出会い、二人は才能を認め合ったといいます。
中也は、自身の人生での苦しみ・喜びを詩に表し、多くの人の共感を得、
読んだ誰もが自分の哀しみと重ねることができる詩だと言います。
多くの哀しみ、苦しみを経験した人だからこそ、人の苦しみや心の痛みが分かる。
だから、人にも優しくできる。中也も、優しい人だったのではないかと思います。

とても陽気な、優しい大山氏が前面にこの詩を打ち出すのも、
人生を振り返り、思い入れがあるのだと感じました。
以前インタビューさせていただいた際に、
「人と初めて会った時には、いつかは別れがくるのかと切なく感じるのだ」
と話されていたことがあります。
一瞬を一瞬を生き、心を込めた作品には、見る側にも勇気を得られることでしょう。
[ – sara 桜羅 – ]

【出展のご案内】
新宿の京王プラザホテル主催の展覧会にて出展。
会期Ⅰ 2020年9月11日(金)~19日(土)10:00~17:00(最終日は15:00まで)
NHK文化センター講師による 天業としてSHIN.ZEN.BI.展 2020
[ – sara 桜羅 – ]