自然/環境保護/SDGs特集

環境について考える

現在のコロナの発生と環境汚染の関係を考察する。

「壊れゆく地球」スティーヴン・ファリス、
「地球に残された時間」レスター・R・ブラウンからの警告から、
環境汚染や気候変動から災害や疫病に関係することが伺える。

今回のコロナは、長年蓄積された気候変動の影響が不確実的な要素を産み出し
疫病の大流行を引き起こしたのではないか。

2009年にジャーナリストのスティーヴン・ファリスが書いた
「壊れゆく地球」からヒントが得られるが、
10年以上前から気候変動が疫病を促すと警告を発している。
人類が把握しておくべき現状を知り、対策を今から行なっていかなければ、
今以上にどうにもならない危機的状況が繰り返されることが予測される。
2009年に書かれた内容でも驚くべき状況であるから、何も投じていない、
もしくは投じていても改善していないとなると、恐ろしい事実である。

下記に、ブラジルを中心とした地域や気候変動に関することを
一部抜粋して転載する。

■ブラジルの森林伐採による大気汚染の影響

ブラジルでは道路建設によっても森林伐採が進み、
数千か所で燃やされ大気中のスモッグが問題視されている。
また、燃やされた後の土壌からは有毒な二酸化窒素が放出される。
二酸化窒素は、通常は自動車の排気ガスと関連付けられる大気汚染物質である。
二酸化窒素は大気の低層部に漂い、太陽光線によってオゾンに変わり、
オゾンは肺の組織を害して喘息を悪化させ、植物の生長を妨げる有毒ガスである。
ブラジルの研究者は、乾季にはオゾン量が3倍になり、二酸化窒素の量は10倍、
大気中の一酸化炭素の量は50倍から90倍にもなることを発見した。
※通常、土壊は大気中の窒素酸化物を吸収し、
大気を浄化するといわれているが、環境条件の変化によっては
汚染物質を排出するのである。

「森林のバイオマス、それに土の中には、膨大な量の炭素が貯蔵されている」というのは
ブラジル・マナウスにある国立アマゾン研究所の教授であるフィリップ・ファーンサイド。
アマゾンの木の葉、枝、蔓、幹、根には、およそ1兆トンの炭素が含まれている。
世界の化石燃料排出物の10年分以上にあたる。森が燃やされるたび、そうした炭素の1部は
空中に出ていく。ブラジルでは、自動車と産業から排出された量より、
森林開拓による排出物のほうが多い。

■ブラジルの森林伐採によるマラリアの影響

ブラジルのロンドニアには、植民計画により1970年代に
ジャングルを失いはじめた。当時、入植者と同時にマラリアが大発生した。
マラリアは蚊が媒介する寄生虫による病気で、高熱と吐き気を伴い、死に至る病である。
1970年、ロンドニアでは1年間に1万件のマラリアの発生がみられ、
1990年には、25万件という数字になっていた。
ペルーの研究者によると、アマゾンで最も恐れられていた蚊(アノフェレス・ダルリンギ)
の数が、ジャングルの外では300倍になることが分かった。
森林を切り倒し、広く美しい水場をつくったことにより、蚊が繁殖したという。
蚊のいくつかの種は、草木の中で繁殖し、花や植物に産み付けるので
繁殖は植物に依存しているのだが、ダルリンギは広い水面と太陽を好んでいた。

■気候変動が疫病の移動を促す

ニューメキシコ大学のロバート・パーメンターは、
1989年からニューメキシコ北部の齧歯類(げっしるい/ネズミ)個体群を研究してきた。
ネズミが増えれば、自然と他の動物に移る率も高まる。
1989年、ネズミの個体数が増え、ネズミの大量発生の原因を調べたところ、
気候と大きく影響していることが分かった。
流行発生と前年にエルニーニョ現象が起き、天候のパターンが乱れて
アメリカ南西部に雨が降った影響で、草、昆虫、木の実など齧歯類の餌を豊富にしたのである。
1993年から1997年の通常期に調べた結果では齧歯類は増えておらず、
1998年の雨が多かった季節の後、個体数は急増し、半数がウィルスに感染していたという。
齧歯類が宿主となるハンタウィルスは、ネズミそのものには害がないが、
ネズミの尿や排泄物から飛沫感染によって伝染する。
この研究によって、ハンタウィルスの発生と地球気候の変動とを関連付けていた。

局地的な地表の変化や天候の乱れが思いがけない疫病に繋がるというなら、
地球規模の温暖化にも同じ影響があるだろうと予測できる。
ほとんどの病気は、地球の最も暑い部分である熱帯に存在する。
地球全体にわたって気温が上昇するなら、病気の範囲は広がることになる。

パーメンターによると、
「気候が一方向に向かって変化を始めると、その変化は水の循環を促す」という。
「雨が多くなる地域があり、反面、雨が少なくなる地域もある。
海面が上昇すると、現在沼地となっている場所に影響を与える。
動物を媒介する病気があれば、媒介動物は必ず気候変動の影響を受けやすくなるだろう。
そこで起きるのは、そうした種の生息圏が北へ、高地へと向かって移動することだ」
※通常は南部に住む鳥がメキシコの北部に移動していることが観測されている。

今後、媒介動物の生息地や環境条件がよくなると、その動物が媒介する病気が増える。
また別の伝染病でも、天候によって病気が増えたことに注意を促した。
ニューメキシコの暑い砂漠では、降雨量によってすべてが違ってくる。
雨の多い冬と春は、ネズミの数を急増させ、ノミも蔓延する。
一方、もっと寒いカザフスタンでは、温暖化する気候が決定要因になっていることが分かった。

オスロ大学のニルス・クリスチャン・ステンセスが率いた研究では、
春の気温が約1度上がったことで、疫病の発生がほぼ60%増加したことが分かった。
調査結果を過去の気温と比較すると、過去に起きた疫病の大流行は、
カザフスタンが暖かく雨の多い年に起きていたことが分かった。
ステンセスの研究によると、「中世の黒死病や疫病の大流行は、中央アジアの気候条件
(暖かく雨が多い)が良かったことによって引き金がひかれたのではないかと」と語った。

ガボンでエボラウィルスを研究している科学者たちによると、
長期間雨が降らなかったあとに雨が降ると、流行を発生するという。
北アメリカでは、1999年に暖かい気候と旱魃(かんばつ)が宿主の蚊を増やし、
ウエストナイル熱の流行が加速された。その同じ年、マレーシアで新種のウィルスが
発見された。森林開拓と旱魃による森林火災のせいで、ジャングルに住むコウモリが
果樹園に餌を食べにくるようになり、その近辺には豚を飼う農民が多かった。
豚はコウモリの糞を食べ、ニパーウィルスに感染し、それを飼い主にうつした。
その時、101人が死亡し、およそ100万頭の豚が処分されたが、ウィルスはインドネシア、
オーストラリア、フィリピン、バングラデシュへと逃げた。

世界保健機構(WHO)も気候変動と疫病の関係性を把握し、こうした現象はすべて
森林開拓、居住環境の変化、捕食者に影響を与える化学薬品の使用、
人間自身の抗生物質の使用、気候の影響が関係しているという。
気候変動は生態系を揺るがし、人間や動物や病原体を思いがけない新しい道に連れていく
可能性がある。WHOは1976年以降、エボラやニューメキシコのハンタウィルス、
ライム病を始め39種の新しい病気を突き止めた。

マラリアが季節病となっているアフリカでは、病気の伝染は天候と長期的な気候との
相互作用によって左右される。
雨の多い地域では、乾季に病例が増える。蚊がよどんだ川で繁殖できるからだ。
そして、雨が降って繁殖地が流されると病気は減る。
通常の気候がもっと乾燥している地域では、そのパターンが逆になる。
雨が降って水溜まりができ、蚊はそこで繁殖する。
乾ききった季節には蚊が減るのっでマラリアも少なくなる。

病気がいつ、どこで発生するかわかっていれば、それと戦うのはたやすい。
しかし不確定要素が多い時は、大発生のチャンスとなる。
豊かな国の医療制度では、病気の伝播を弱めることができるだろう。
しかし、病気が大流行している国は、その国の産出物、あるいはその国を経由する製品の
輸出制限や禁止をうけることで、収入を大幅に失うことになりかねない。

旱魃、自然災害、気候によって引き起こされる紛争は、医療制度を混乱させ、
人々と病気の流行をともに移動させる。
気候の変動によって人々の移動が起こると、土着病ごと移動して
地域に流行を引き起こしてしまう。

近年増加する花粉とカビが、森林火災や砂漠化とあいまって、呼吸器系の感染症、
アレルギー症、喘息の罹患率を押し上げている。
現在の傾向が続けば、気候変動による死者数は今後30年で倍増すると見られている。

動物が媒介する病気は、ケニア、ウガンダ、ジンバブエといった貧しい国の高地に広がり、
経済成長の芽を摘み取りことになる。
ノースカロライナ州の経済学者スベレンドゥ・パタナヤクは、アマゾン地帯にある国は
気候変動によるマラリアの増加からくる経済的コストを弱めたければ、森林伐採を防がなくては
ならないと主張する。

「こうした感染症はすべて、新しい病気の出現と、古い病気の再来と再分布のパターンなのです。
気温が不安定になるにつれて、影響力も増大し、物事が変化する」と
ハーヴァード・メディカル・スクール副所長のポール・エプスタインは解く。

■過去世界で起きた疫病

記録に残る歴史的な感染症の流行のうち、
ペストと同じ症状と推定される感染症の最初の流行は、
542年から543年にかけてユスティニアヌス1世(在位527年-565年)治下の
東ローマ帝国(ビザンツ帝国)で流行したペストで、
ユスティニアヌス自身も感染したため「ユスティニアヌスのペスト」と呼ばれ、
流行の最盛期には毎日5,000人から10,000人もの死亡者が出たといわれている。

かつて世界中で流行したペスト(黒死病)は何度も伝染病を繰り返し、
14世紀に起きた大流行では、世界人口4億5000万人の22%にあたる
1億人が死亡したと推計されている。
また、ペストに感染した場合、致命率は非常に高く、
抗菌薬による治療が行われなかった場合、60%から90%に達し、
放置すると肺炎などの合併症によりほぼ全員が死亡に至るという。
ちなみに、14世紀に大流行した発生源は中国大陸である。
これは1320年頃から1330年頃にかけては中国で大流行し、
ヨーロッパへ上陸する前後にはマムルーク朝などイスラム世界でも猛威をふるっていた。
この病気が14世紀のヨーロッパ全体に拡大したのは、モンゴル帝国によって
ユーラシア大陸の東西を結ぶ交易が盛んになったことが背景になっている。
当時、ヴェネツィア、ジェノヴァ、ピサなどの北イタリア諸都市は、
南ドイツの銀、毛織物、スラヴ人奴隷などを対価とし、アジアの香辛料、
絹織物、宝石などの取引で富を獲得していた。こうしたイスラームと
ヨーロッパの交易の中心となっていたのは、インド洋、紅海、地中海を結ぶ
エジプトのアレクサンドリアであり、当時はマムルーク朝が支配していた。

ペストは何度か流行しているが、17世紀にもペストが大流行して飢饉が起こり、
英蘭戦争や三十年戦争をはじめとする戦乱の多発によって人口が激減したため、
「危機の時代」と呼ばれた。
この時代は、ペスト菌の存在がわからなかった時代には大流行のたびに
原因が特定の人びとにおしつけられ、魔女狩りが行われたり、
特にユダヤ教徒をスケープゴートとして迫害する事件が続発した。
この時代のペストの状況を、ダニエル・デフォーは『疫病の年』を著して
当時の状況を克明に描写している。
また、中国でも、歴史地理学者曹樹基によれば、明末清初期の華北では、
合計1000万人がペストで死亡し、人口動態の面でも大変化があったとしている。

ペストはこれまでに3度にわたる世界的流行をみている。
第1次は、6世紀の「ユスティニアヌスのペスト」に始まって8世紀末まで続いたもの、
第2次は、14世紀に猖獗をきわめた「黒死病」から17世紀末にかけてのもので、
オスマン帝国では19世紀半ばまでつづいた。
そして第3次は、19世紀末から現在までつづくものである。

日本では、1899年(明治33年)に最初に流行し、
最大の流行は1905-1910年の大阪府で、958名の患者が発生し、
社会的に大きな影響を与えた。
1899年から1926年までの日本の感染例は2,905名で、
死亡例2,420名が報告された。昭和2年以降は確認されていない。
尚、世界では近年でもペストの感染は続いており、
2004-2015年で世界で56,734名が感染し、
死亡者数は4,651名(死亡率 8.2%)である。

このペストの度重なる流行に歯止めをかけたのは、
日本人の北里柴三郎である。19世紀末に原因菌を突き止め、
有効な感染防止対策がなされて流行は減ったのである。
こうしてみると、改めて北里氏の功績は非常に大きい。

19世紀以降も様々な疫病・感染症が起こり、
「黒死病」以来、人類史上最悪の感染症の1つだといわれるスペイン風邪は、
1918年、アメリカ合衆国の兵士の間で流行しはじめ、
人類が遭遇した最初のインフルエンザの大流行(パンデミック)
となり、感染者は6億人、死者は最終的には4000万人から5000万人におよんだ。
当時の世界人口は12億人程度と推定されるため、
全人類の半数もの人びとがスペイン風邪に感染したことになる。
1918年1月から1920年12月まで世界中で5億人が感染したとされ、
これは当時の世界人口の4分の1程度に相当する。死者数は1,700万人から5000万人
との推計が多く、1億人に達した可能性も指摘される。

過去から現在を振り返り、それぞれの国が対策を行い、
なんらかの措置を投じているならまだよいが、
環境保護の必要性を認識せず対策を打っていても効果が
微々たるものであれば、危機的な状況である。

世界でも、環境保護の提唱と運動に励む方々がいる。
それが世界的に見てわずかな数であったとしても、
気の遠くなるような活動であっても、希望を捨ててはならない。

環境保護の活動家で知られるレスター・R・ブラウン氏は、
人類に様々な指針を示している。現在の状況を専門家からきちんと学び、
今後の指針に耳を傾けなければいけない。
今日明日と迫りくる危機を防ぐには、自分達で止めるしかないのだから。

■地球に残された時間(レスター・R・ブラウン著)

不安定に安定する気候 ※一部抜粋

― 気温が高くなると水の蒸気が増え、降水量が増える。
地球上のある部分ではより雨が降り、ある部分ではより乾燥するようになるだろう。
季節風のパターンも変わるだろう。雨が増える地域は、東南アジアの地域と
カナダ、北欧、ロシアなどの高緯度の地域に集中するだろう。乾燥が深刻化する
リスクがとくに高い地域は、地中海地域、オーストラリア、米国南西部などだ。
気候が不安定であるこが、新たな常識になりつつある。私達は予測のできない時代に
足を踏み入れつつあるのだ。

過去の文明の多くが、環境によって引き起こされた危機に直面し、
そして多くがそのために崩壊した。一般的に、そうした文明は1つか2つの破壊的な
環境的傾向に直面し、それはたいていの場合、森林破壊と土壌侵食だった。
それに対して、21世紀はじめの私達の文明は、環境面での破壊的傾向を数えきれないほど
抱えており、それはすべて私達自身がつくり出したもので、その多くは互いに負の影響を
与え合う為、さらなる悪化を招いている。森林破壊と土壌侵食に加えて、
たとえば帯水層の枯渇、作物を枯らすほどの熱波、漁場の崩壊、山岳氷河の融解、
海面上昇などがある。

【レスター・R・ブラウン】
アメリカ合衆国の思想家、環境活動家。
ハーバード大学で農学・行政学を学び、米国農務省では国際農業開発局長を務めた。
30年以上前から「環境的に持続可能な発展」の概念を生み出し、
ワシントンポスト紙には、「世界で最も影響力のある思想家の一人」と評された。
これまで地球環境について20冊以上の著作があり、彼の著作は40以上の言語に翻訳されている。
1974年に「ワールドウォッチ研究所」を設立、2001年には学際的な非営利研究所
「アースポリシー研究所」を設立し、文明を持続させるための計画策定および
ロードマップの提示を目指している。
今までに40の名誉学位とマッカーサー研究奨学金、その他数多くの賞を受賞した。
日本では、旭硝子財団からのブループラネット賞(第3回、1994年)や、
2006年に一橋大学から名誉博士号も授与されている。

[ – sara 桜羅 – ]

おすすめガイド