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[吹田だんじり祭]-大阪で二番目に古く貴重な都呂須地車は、言葉を失う迫力[有形民族文化財]

50年もの長きにわたり、地元の人々に愛されてきた「吹田まつり」は令和元年を最後に、新型コロナの影響により、開催が中止されていました。しかし、地元の熱い思いに突き動かされ2022年に開催されることとなった「吹田まつり」は「吹田フェスタ」にその名称を変え、吹田駅前の商店街から万博記念公園に場所を移します。そのため、「吹田まつり」のパレードにて毎年曳行していた地車(だんじり。以下特段の断りのない限り地車と表記します。)は日の目を見る機会を失いました。


 しかし、「吹田の重要な文化財である地車の伝統を絶やすことなく多くの人に知ってもらいたい」、「未来へとつなげていきたい」という有志の市民の思いから、「吹田だんじり祭」の開催が決定し、吹田だんじり祭実行委員会によって7月31日晴天の下、地車の曳行が行われました。


当日は、吹田市内にある5台の地車が高浜神社、JR吹田駅周辺の商店街を曳行され、多くの市民がその様子を見に訪れました。

大きな地車が動き出し、掛け声と共に持ち上がり、そして拍手が起こる。囃子とともに熱い真夏の太陽の下で巡行する地車の雄姿は、見に訪れた多くの人の胸を躍らせました。


 吹田にある地車、中でも都呂須地車は天保6年(1835年)の江戸時代に製作され、現存する地車としては大阪で二番目に古い貴重なものです。木彫りの彫刻や繊細な飾り金具は当時のまま残っており、その姿からは、言葉を失うような力強さが感じられることでしょう。


地車は曳行することで、本体の悪化している箇所を確認・修繕します。それぞれの地車に伝統があり、曳行を続けていくことで、地車はもちろん、その飾りつけの手順や地車囃子が、あたかも永遠の生命の如く受け継がれていくことでしょう。


吹田には今でも曳行することができる地車が西奥町、都呂須、六地蔵、神境町、浜の堂、川面町、金田町の7台もあります。江戸時代に製作され、今でも曳行できるのは大阪府下でも珍しく、それぞれ市指定の有形民族文化財に指定されています。


今回、地理的条件によりだんじり祭に参加できなかった金田町の地車と、自治会の都合で参加できなかった川面町の2台の地車です。金田町の地車は地域の小学生との交流があるなど、地域住民から愛されています。


また、金田町を除く6台の地車は、吹田まちづくり文化センターである吹田市南高浜町の浜屋敷地車庫に1台ずつ定期的に入れ替えての展示を行っています。また、浜屋敷の館内ガイドの方の話を聞きながら見ることができます。


翌年、翌々年とだんじり祭りが続いていくことで、7台全ての地車がそろう時、本当の意味での「吹田だんじり祭」が見られることを市民は待ち望んでいます。

阿形幸恵、瀬戸朋美ほか1名


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