武田文志 /観世流 シテ方 (重要無形文化財総合指定保持者)ご案内

観世流能楽師 武田文志 12/18(土)第五回「文の会」

 

日頃よりご高配賜り、誠にありがとうございます。
未だ終息の見えぬコロナ禍により、皆様、大なり小なり
災禍に遭われておられます事、心よりお見舞い申し上げます。
斯界も手探り状態ながら公演を再開しておりますが、
内外ともに特に高齢の方々への影響と、若手の活躍・勉強の場が
失われている状況は、殊に深刻です。


そんな中でも、出来る者がやらねばならぬという使命感と、
何より流祖・世阿弥が書かれている通り、
能楽を通じて寿命が延び、幸せが増長して、
元気になって下さる方が決して少なくないと信じて、
本年も微力ながら開催を決断致しました。
ともすれば、戦中・戦後かとも思える程、
不安定でままならぬ状況が繰り返しておりますが、
足元を見つめた時、それでも家もあり、食事も食べられていて、
着る物もあり、数は減っても能の公演も出来ております。
戦時中を想像すれば、まだまだ幸せと言える状況なのではないかと、
最近は考えております。そんな中、当会に携わって下さる全ての方々が、
開催によって少しでも元気になって頂けたなら、
それこそが本望であり、冥利に尽きるといった一念でおります。


本年は第五回記念に相応しく、例によって私自身が尊敬する
能楽師の皆様にご出演頂き、また「是非拝見したい」と思う
番組の成立が叶いました。
能「求塚」は観世流において《重習》 という大変扱いの大曲で、
私自身も二十代の頃より是非挑戦してみたいと願っていた演目です。
今回は、当会においては初めて二十六世御宗家・観世清和先生に地頭を
お願い申し上げ、他の七名は全て同年代で、共に研鑽を積んできた
先輩・仲間達にお願いしました。ツレのお二人は次代を担う後輩、
その他、御三役や後見も隙のない布陣となり、身の引き締まる思いでおります。
舞囃子「絵馬」は、駆け出しの頃より密かに敬愛申し上げている
(ここで明かしてしまいましたが)、父と同級・同年の観世恭秀氏にお願いし、
ツレも、同じく信頼・尊敬するお二方にお願いしました。
一調「笠之段」は、私が修行時代からお世話になり敬愛申し上げている
柿原崇志先生(人間国宝)にお相手をお願いし、

当会にては初めて私自身が謡わせて頂きます。


思い入れのある同年代の《五番立て仕舞》、お狂言「鈍太郎」は、
能「求塚」が一人の女性に二人の男が思いを寄せる演目に対し、
一人の男に二人の女性が思いを寄せる演目という趣向で、
野村萬斎氏が選曲して下さりました。
御宗家と御嫡男・三郎太様の仕舞は〈静〉と〈動〉の魅力を、
父・志房を地頭としてお願い申し上げました。全ての番組に
ここで触れる事は些か無粋とは思いながら、様々に思うところあり、
また是非お客様方へ魅力の一端をお伝え致したく、ここに記させて頂きました。


 まだまだ予断を許さぬ情勢の中、お客様方には諸々ご不便・ご迷惑を
おかけする事と存じますが、どうかこの一日だけは諸事を忘れて
お楽しみ頂ける様にと念じ、鋭意準備を整えております。
当日は、是非オシャレ(お着物大歓迎)をして銀座の街へお出掛け下さい。
皆々様のご来場をお待ち申し上げております。


武田文志 公式HP
http://takedafumiyuki.com/ak/

公益財団法人 武田太加志記念能楽振興財団
http://ttmnf.or.jp/


おすすめガイド