sara 桜羅読み物珠玉の言葉

清風明月

清風明月(せいふうめいげつ)とは、
心を慰める自然の風物を代表するものであり、さとりの心情の表象です。

一般に、自分の胸中や心中にやましことのないのを“清風明月”といいますが、
本来は煩悩を生じない清らかな状態を「清風明月」と言うそうです。
転じて、何ごとにも執(とら)われない悟境(ごきょう)を「清風明月」という。

しかし、たといさとりであっても、
さとりに引っかかっていては真実のさとりといわれない。
さとりを忘れなければいけないから、

「清風払明月 明月払清風
(清風、明月を払い、明月、清風を払う)」ともいう。

清風明月といっても、清風と明月との二本立てに考えてはならない。
「清風と明月」とは別のものではない。
さとりの心情の表象であるから、明月といっても清風といってもいい、
とにかく二つに分けてはならない。
ゆえに禅者は「清風明月共(に)一家」と言う。

月白風清(つきしろかぜきよし)は、
禅では、ただぼんやりと月を見たり、
風を感じるだけではなく、純真清明なる自分に立ち帰り、
自分自信が輝く月、吹き抜ける風になりきってしまえと説きます。

禅者がこの句を愛でてよく揮毫するのは、
そうした人境一如・自他不二の境地を尊び、
人間本来が持つ純真清明なる仏心を何よりも
大切にしているからです。

 

[ – sara 桜羅 – ]

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