sara 桜羅読み物歳時記

冬の季節の言葉

冬は日本海側では荒れた天候になりますが、冬になり、すべてが荒れ果てて
寒々しい様子を「冬ざれ」というそうです。ここしばらくの各地の豪雪は非常に深刻で、
地球全体の異変が様々な季節に影響していることが伺えます。


特に、雪国の暮らしは想像をはるかに超えて過酷なものがあります。雪国で
は、雪の上にさらに降った雪が積もっていき、春まで消えずに残る雪を
「根雪」といい、冬に吹く北風のことを、東北地方では「ならい」と呼ぶそうです。
この「ならい」については地方によって呼び名が異なるらしく、
茨城では「筑波ならい」、伊豆七島では「下総ならい」、北からの風という意味で
各地で「北ならい」など呼ばれています。この、季節ごとに様々な呼び方があるのは、
気象がそれだけ生活に影響を及ぼし密着していたからではないでしょうか。


今年は新型ウィルスの関係で行事ごとが縮小されておりますが、
間もなく正月の神様が帰る儀式、「どんど焼き」(1月15日)が行われる時期となります。
これは正月に飾った門松や注連縄飾りを焼くもので、その煙に乗って正月の神様が帰ると
いわれています。「どんど」の意味は、火を焚くときの「どんどん燃えろ」という意味でしょうか。


細々と、こうしたことを書き綴るには、やはり意味があり、
日本の大事にされてきた思いを伝えていきたいという意がございます。
明治から昭和の大作家、谷崎潤一郎が書いた代表作「細雪」の書かれた時期は第二次世界大戦前後。
「細雪」の作品の中には、当時戦争によって滅びていった伝統的な日本の文化や風物が
絵巻物語のように綴られており、不朽の名作といわれています。
谷崎潤一郎は、そうした日本の記録を残すと共に、
なくしてはいけない、そうした切なる思いがあったのではないでしょうか。

[ – sara 桜羅 – ]

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