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「日本の映画は文化である」撮影監督:宮島正弘氏

「日本の映画は文化である。
何故なら、映像には当時の日本、日本の思想が込められているから。」
そう語るのは、日本を代表する撮影カメラマン宮島正弘氏。

日本の名作映画『無法松の一生』( 伊丹万作脚本・稲垣浩監督)が、
今年の東京国際映画祭で世界的に有名なマーティン・スコセッシ監督の支援により
4Kデジタルリマスター版で美しい映像を取り戻し息を吹き返しました。

マーティン・スコセッシ監督は、
当時の日本の映画は、世界中のどの国よりも先を進んでいたという。
若い頃は黒澤映画に深く傾倒し、日本の昔の名画は、
とにかく人物描写が素晴らしいと高く評価しています。

この『無法松の一生』の4Kデジタルリマスター版につき
修復作業を監督したのは、当時宮川一夫撮影監督と共に
多くの撮影を務めた宮島正弘氏。
マーティン・スコセッシ監督は、今の時代に完璧に直せるのは
宮島正弘氏しかいないという。
宮島氏も、これを修復しないことには、悔いが残るとコメントを残していました。

マーティン・スコセッシ監督は、自身の財団資金を投じて、
『無法松の一生』だけではなく、世界を代表する映画祭でグランプリを
次々と取得した『羅生門』『雨月物語』も保存修復活動を行っています。

海外では黒澤明、小津安二郎と並ぶ人気を誇る名匠・溝口健二監督の
『雨月物語』については、第69回カンヌ国際映画祭カンヌクラシック部門で上映。
スコセッシ監督は「ミゾグチの芸術性は、極限のシンプルさにある」と評価しています。

スコセッシ監督の活動に関し、11/09 21:32 NHK総合・東京 【ニュースウォッチ9】では
「映画文化どう守る?日本に課題」として大きく取り上げられました。
東京国際映画祭の運営にも携わった是枝裕和監督は「映画を守るべき文化として捉える意識が、
国全体として希薄であることが背景にある」と指摘し、「日本は映画を残してこなかった。
小津さんや溝口さんの作品も残っていないものがある。消耗品として映画を考えていた時期が長い。
できるだけ残していかないと、埋もれたままで見る機会が失われるのは本当にもったいない」と
語っていました。

日本人が、日本の文化に目を向ける分野は多岐にありそうです。
[ – sara 桜羅 – ]

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