sara 桜羅読み物歳時記

正月の雨雪は豊作のしるし『御降り(おさがり)』

元旦や三が日に降る雨や雪は、豊作のしるしとされ、めでたいものとして喜ばれました。
しかし、今年は一部では厳しい寒さで、身も引き締まるような思いがいたします。

雨や雪は天からの恵みである為、雨が降ることを感謝と敬意を込めて
『御降り』と言っていたそうです。

お正月にはたくさんのいわれがありますが、
伝統を重んじる家や老舗旅館などで見る結び柳や鏡餅などはとても立派で見事です。

鏡餅は、大小の丸い餅の上に伊勢海老や昆布などを添えて神仏に供えますが、
現在のように床の間に飾られるようになったのは室町時代ぐらいからで、
武家では鎧や兜などと一緒に飾ったことから具足餅とも呼ばれました。

床の間に長く垂らした結び柳は、「綰柳」(わんりゅう)とも呼ばれ、
旅立つ者が無事に還ってくることを祈って、別れ際に再会を期して柳を三本使って輪に結び、
旅立つ者を送ったことが起源となったもので、行く者と送る者との縁つなぎ。
つまり、行く歳から、来る歳への縁つなぎ(再会)を「結び柳」は意味しています。

唐代の詩人、王維が旅立つ友の為に詠んだ七言絶句の漢詩『元二を送る』は、
旅立つ友に酒を勧めて送り出しますが、詩の中には再会の願いが込められているのかもしれません。
戦前の日本でも壮行会の席上、送られる者も、送る者も声を合わせてこの詩を朗吟したそうです。
当時の方々は、とても風流であったと思います。

[ – sara 桜羅 – ]

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